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カンボジア見聞録


                            H28.08.10

 カンボジア見聞録 12

                       柴田幹雄
                       カンボジア在住

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ERW(不発弾処理事業)
 JMASはERW(不発弾処理事業)として、TIMA(地雷処理技術校)での不発弾処理に関する課程教育をしている。TIMAのあるコンポンチュナンはプノンペンの北100km位の場所にあり、CMACのいわば教育訓練センターで、CMAC独自に毎年かなりの数の訓練生に技術教育をしている。JMAS教官は武器科出身の元自衛官の今さんと菅原さんで不発弾処理の専門家である。コンポンチュナンに民家を借り上げて事務所兼住居としており、通訳、ドライバーなど一緒に勤務している。住居と言っても住んでいるのは事務所の2階の一部屋ずつを使っている。訓練生はCMACが指定した隊員でこのERW課程に入って教育を受ける。また教育を支援する5名編成の教導チームもあり、知識経験のある隊員で編成され、教育支援のほか近くで発見された不発弾処理もする。今期(3か月)の訓練生は5名のチームが二つで教導チームも合わせ計15名である。教導チームと訓練生チームもERW事業に入っている間はJMASの予算からCMAC経由で給与が支給される。TIMAは約560名が所属しており、管理機構、教官、学校の維持管理・補給機能など整った組織だが、資金はほぼ全額外国からの支援で運営している。現在はそれほどでもないが以前はかなりの割合でJICA経費も投入され、当校で見た数台の4輪駆動車やピックアップトラックなどすべての車両に日の丸が描かれている。

 ERW事業としての教育カリキュラムや教育予定はJMAS側がCMACと調整しつつ共同で作成し、教育は日本人教官が主体に行う。課目によりCMACのカンボジア教官も担当する。内容は教室での座学、実技、実爆破、管理、などを教えているが、単に技術教育だけでなく、安全管理の考え方、計画作成要領なども含むためいろいろな仕事に応用できる知識も多く含まれる。JMAS教官は日本語で教育をし、通訳がカンボジア語にする。もどかしさを感じるところもあるだろうが教官と通訳はずっと一緒だから息の合ったコンビになっている。通訳は教官が冗談を言えばなんとか笑わせようと苦労?している。
 指定されて入ってくる訓練生は多くが元軍人である。1991年にパリ平和協定で内戦が終了し、1992年国連カンボジア暫定統治機構UNTACのもとで、内戦を繰り広げていた各派の将兵は新しい国軍に統一された。その中からCMACなどの政府組織に配置換えされた元軍人も多く、訓練生には若い人に混ざりかなり年の文字通りのベテラン(歴戦者)もいる。みな真剣に教育を受けている。ベテランなど年配者は経歴も考慮し、シニアメンバーとして指定され彼らには将来の小隊長として管理技法、ブリーフィング要領、リーダーシップなどに関わることも教育している。
 写真は訓練生とその居室。陸上自衛隊の演習場にある廠舎といったところで、冷房はもちろんない。ベッドはあるがマットレスはなく、すのこの上にゴザを敷いて寝る。

 JMASの不発弾処理事業というからには、不発弾がゴロゴロ転がっているところへ行っては片っ端から信管抜いたり、爆破処理すると思う人も多いだろう。勿論実習を兼ねて不発弾の実処理は行っているが、主体は人材育成、能力構築(Capacity Building)である。JMAS創設当初は実際の不発弾処理を主眼にカンボジア隊員を指導して行ってきた。だが数百万ともいわれる地雷・不発弾などをすべてJMASが処理することは不可能で、逐次カンボジアの隊員を指導しつつ処理をし、彼らができるようになると隊員を入れ替えて新しい隊員を教育して処理に当たらせるようになった。さらには主眼を教育に置き、不発弾に関する人材育成・能力構築をして処理そのものをカンボジア人に任せる方向に進んできた。これはスポンサーである外務省の主導で進んできたことで、考え方しては妥当で理解できる。だが不発弾処理の「職人」であるJMAS専門家にとっては、教育よりも自分たちが主体になって実際の処理をカンボジア人と共に行いたいというのが本音ではある。しかしこの方向性は変えられない。来年度以降はさらに進化した教育訓練を企画、実施していく必要がある。
                      つづく

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