平成21年9月下旬の記事




9月30日
民主党政権が成立して今日で2週間が過ぎました。自民政権が築いてきた構造が音をたてて崩されようとしています。特に政治の脱官僚体制には力を注いでいますが、今朝の産経「正論」で竹中平蔵氏が民主党の脱官僚政策の問題点を衝き、「国民のための政策を行おうとする表向きの姿と、一部の利益集団のために政策を行うもう一つの姿」があると言っています。

竹中氏は「表向きは国民の利益や利便性のためと言う。しかし実態は、特定郵便局長会の主張、また日教組の主張を実現するものと言わざるをえない。」と言って、民主党の政策が特定の利益集団を益するものだとしています。

昨日、千葉法務大臣は夫婦別姓法案を来年提出すると述べました。この法案は議員立法で過去20回も提出されましたが、成立していない曰く付きのものです。いわゆる人権派の人達が推進してきましたが、伝統的な日本の家族制度が破壊されるとする意見が勝って、審議にも到っていなかったとです。日教組出身の輿石議員は教員の免許更新制度見直しを言い、日教組の利益代表を自認しています。

このように、左派的な勢力が勢いづくのではないかという懸念が民主党政権にはありしたが、これが現実化し始めたと言えましょう。


9月29日
負け方にもいろいろあって、今度こそと覚悟を新たにする負け方もあれば、これが最後と悄然と戦場を後にするのもあります。今回の自民の敗戦は後者のようで、昨日の総裁選は、産経の乾記者は自民の歴史上もっともつまらない選挙だったと言っています。3人の候補者はそれなりの主張をしていましたが、党勢回復にはまだ道遠いと言えましょう。

当選した人達も派閥の領袖や古狸のような方々、それも比例復活では勢いは出ません。党は中堅若手が落選し、すっかり筋肉が落ちて頭でっかちになってしまいました。これでは活力は落ちるのは当然のことです。総裁選後の党員へのインタビューでは、小泉ジュニアの勢いが僅かに救いに見えました。

上海では日中韓の外相会議が行われました。この会議は22日に開催が公表されましたが、東アジア主要国の連携に気づかう米国の対応が気になっていました。まして、鳩山首相は国連総会の一般討論演説で「東アジア共同体」構想を表明していたのです。果たして、産経有本記者は「“外された”米、反発 不信感払拭できず」という記事を送っています。

民主党と国民新党・社民党間に銀行資金返済猶予やこども手当ての問題で亀裂が出ています。外交・安保ではもっと大きな溝が3党間にはありますから、どう調整するのか、調整する余地があるとするなら、それは反米の方向です。


9月28日
鳩山総理は国連演説で温暖化ガス25%削減を公約し、国内のマスコミはこれを好意的に受け取っています。毎日は社説で「鳩山外交 「変化」の発信は成果だ」と言い、潘基文国連事務総長は「首相の指導力によるもので加盟国から大変好意的に受け止められている」と評価、オバマ米大統領も日米首脳会談で首相の「勇気」を称賛したといいます。確かにそういった発言はあったのでしょうが、内外の報道には格差がありました。

けさの産経の報道によれば、鳩山発言に対する米英中の三カ国のマスコミの注目度は低いのが実情だそうで、中国の報道機関に到っては全く無視していたそうです。

日本国内でも、産業界を中心にこの削減目標には批判的です。排出量削減についても民主党のマニフェストに共通する理念先行があり、それを裏付ける根拠が薄弱なのです。25%の中身がどのようなものなのかも示されておらず、そのかなりの部分が排出量取引に依存するのではないかと思われています。

排出量取引制度とはどのようなものか、素人には理解するのがなかなか難しいことです。頭の良い人が債権の証券化という発明をして、世の中に毒入りの証券をばらまいて利益を上げましたが、この排出量取引もこれに似た構造があるのではないか、米中など排出量が巨大な国は何パーセントなどという目標を掲げることはしないのです。

オバマ大統領が鳩山総理の「勇気」を讃えましたが、その裏には「よくやるねー」といった冷笑的な意味合いがありそうに思えます。鳩山公約が達成できかった場合(恐らくそうなると予想しますが)、今回の発言が世界で注目を集めなかったとことが却って幸いではなかったかとまで思うのです。


9月27日
24日の国連演説でオバマ大統領は「北朝鮮とイランは、我々を危険な坂に落とそうとしている。」と述べて核開発を進める両国を名指しで非難しました。特にイランに対しては軍事的手段を排除しないという姿勢を示しています。オバマ大統領には対話を重視するというイメージがありましたが、これまでの外交を見ますと巧みに各国の協力を得ながらイラン、北朝鮮両国に対し強い姿勢を取り続けています。

北朝鮮に関しては、ブッシュ政権時代のライス国務長官・ヒル六カ国協議代表の路線が北に翻弄され、遂には弱気になってテロ支援国家指定を解除してしまったのと比べると、雲泥の差があるように思います。

イランに対する強い姿勢を取れるようになったのは、ロシアの協調を得ることができるようになったことがあります。今月17日にオバマ大統領はチェコへのMD用レーダー、ポーランドへのMD基地の配備を取り止めることを明らかにし、ロシアの主張を入れました。

これに対し、MDに対抗するロシアも新型ミサイルの配備中止を表明し、米国の措置を歓迎しました。更にイランの核開発に関してはロシアはこれまでの姿勢を転換、イランの核は深刻な脅威だとメドベージェフ大統領が言明するまでになりました。オバマ流とも言える外交の成果です。

わが国が関心の深い北朝鮮の核に関しては、オバマ政権は国連決議を基に制裁を強化しました。これに北朝鮮は悲鳴をあげているようで、相次いで柔軟路線を出し、昨日は何年も途絶えていた南北離散家族の再開を演出して見せました。水面下で米国との直接交渉を探っているなどとの報道もありますが、オバマ政権の路線は北が核廃棄をしない限り交渉には乗らないという建前を貫いているようです。

米国は単独主義から決別するというオバマ大統領の国連演説は、裏を返せば各国の協調を得て外交を進めるということにほかなりません。既にその成果が挙がっているように思えます。


9月26日
安保理の首脳会合は、24日、「核兵器のない世界」を目指して核拡散防止体制を強化し核軍縮を進めるとする決議を全会一致で採択しました。議長を務めたのがオバマ米大統領、「Please raise your hand」と議場を見渡す目線は迫力がありました。ロシアも中国も他の常任理事国も、この迫力に押されてか挙手しました。

オバマ大統領はプラハ演説以降、一貫して核廃絶に向けた姿勢を保っていますが、安保理での決議をまで視野に入れていたとは、その姿勢が尋常なものではなかったこと感じます。プラハ演説に続いて、7月にはロシアと戦略核弾頭の相互削減に合意し、イタリアのラクイラ・サミットでは「核なき世界」に向けた首脳声明の採択を根回しして来ました。

理想を説くオバマ大統領が直面する核の世界の現実は厳しいものがあります。どうせ核廃絶など夢物語だと世界の大方の指導者達は思っているのではないか、安保理決議後、早速ロシアや英国は最低限の核は保有を続けると言っています。肝心の米国自身が包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准していないとという現実もこれあり、核廃絶への道程をオバマ大統領も示せていませんが、重い扉が開きかけたと評価する声も出ています。

日本の現実に戻ると、米国の核の傘をどう考えるかという問題に直面します。毎日は昨日の社説で、「核なき世界」をめざすことと、「核の傘」で現実の脅威に対処するのは、次元が異なる問題である、と。」と書いていますが、素直には頷けません。民主党政権が核の傘をどのように考えるのか、鳩山総理は国連演説で非核三原則を遵守すると言明しましたが、核搭載艦の寄港などをあいまいにしてきた現実をどう扱おうとしているのでしょうか。

核の傘の有効性を言いながらも非核三原則の明確化でその効果を減殺しようとしている民主党政権、それに対し核廃絶を唱えるオバマ政権は日本に対し核の傘の有効性を盛んに言います。本音と建前の使い分けは日本人の特技のように言われますが、オバマ氏も同じなのでしょうか。