平成20年7月下旬の記事




7月31日
韓国が独島防衛と銘打って軍事演習を行いました。日本が教科書に竹島を記載することにしたこと、米国が竹島が主権未確定地域と認定したことを受けてのこととされています。韓国民は近々に日本が実力行使で竹島奪回を始めるような気配を感じているのでしょうか。

韓国マスコミの評論を読んでいますと、私ども日本人の思考とは全く相反するところがあるのを感じます。竹島に関し、例えば、朝鮮日報は「日本が長年にわたり緻密で計算された政策を取ってきたのに対し、韓国は安易で思い付き的な対応で一貫しているというのが専門家の見方だ。」という書き方をしています。

私どもから見ると、日本政府のやり方こそ場当たり的で一貫した戦略など感ずることが出来ないのですが、韓国から見ると全くその逆です。日本は着々と独島奪回の戦略を実行し、今回の米国の主権未確定地認定はその成果であるという認識がその一つの例です。

韓国にして見れば、主権未確定というのは即係争地であるとの国際的評価とイコールで、そもそも領土問題など存在しない、だから日本が主張する国際司法裁判所への提訴など認める訳には行かないという韓国の主張が論拠を失うことになります。

更に、今回の米政府の発表は、「日本の真の力量は巨額の予算に支えられた非公式なロビー活動だ」と書いている韓国紙もあり、更には韓日戦えばというシミュレーションまで行って韓国側に勝ち目がないと言い、何かの影に脅えているようにも思えます。

このような心理的に追い詰められた状況ですから、独島防衛演習は不安を少しでも除去したいという願望を込めたものと感じます。


7月30日
福田首相は来月早々にも内閣改造を行う決心をしたと各紙は報じています。そして、この改造は福田氏による衆院解散と連携しているのだとか、政治の世界は解説を聞かないと理解するのが難しい。

その結果、与党は2/3の多数を失い、或いは政権も失うことになるかも知れません。新テロ特措法の衆院再議決など望むべくもない状況に陥ります。例え解散しないとしても、公明党はこの法案の再議決に応じないと決めているとか、何れにしても海自のインド洋における活動は再び休止、今回は再開の見込みはありません。

国際的公約とも言える対テロ活動からの撤退による日本の地位の低下、発言力の低下、信頼性の低下は言う迄もありません。地震災害の時には声高に言うライフラインの維持ですが、これが国際的なスケールのライフラインになると他国任せ、自分の汗は流さないでもOKになってしまいます。

海自のインド洋からの再撤収をを現政府が友好国に理解を求めるのは極めて難しい事、政権が交代して日本の外交方針が劇的に変化したのだとでも言わなければ、説明がつくことではありません。もう、解散総選挙しかないのかも知れません。


7月29日
航空自衛隊のイラク復興支援派遣輸送航空隊が年内に撤収する方針を政府が固めたと産経が報道しています。現在の衆参ネジレ状態では、派遣の法的根拠を維持できないと判断したためだそうです。

派遣部隊が困難な状況下で事故なく既に500回の任務飛行を完遂、支援を受ける国連、多国籍軍関係者から信頼を得ているところですから、派遣を継続する事の是非について少なくとも国会内での議論があって然るべきと思います。あっさり撤収を決めてしまっては、これまでの努力が水泡に帰すのではないか、日本のイラクへの関与が減少すれば、その将来的影響は少なくない筈です。

米政府機関の「地名委員会(BGN)」が竹島を無主の島と認定したことに韓国世論が激昂しています。竹島については、何かニュースがあれば直ちに過剰とも思える反応をする韓国世論ですが、日本の教科書に竹島の記述を載せることが伝えられて間もない時に、この米国からのニュースはボディブローになったに違いありません。李大統領も「こんなことがあり得るのか」と、激怒したと韓国紙が伝えています。

「韓国政府の「独島外交」に赤信号がともった」(中央日報)、「 国際世論の悪化が続けば、韓国の立場はやがて行き詰まってしまう」(朝鮮日報)、これほどの危機感を韓国マスコミも抱くとは、一方の当事者としての日本人にも信じられないことです。

その一方で、韓国国会の与・野党議員50人が対馬返還要求決議案を発議し、国民の半分が賛成していることが調査で明らかになったという韓国内の報道があります。感情過多というべきか、思慮のないというべきか、国会議員が大まじめで対馬は韓国領だというのですから、この人達とどう付き合うべきか、真面目な議論はできそうもありません。


7月28日
スーダンに対する自衛官派遣準備のため、昨日防衛省・自衛隊からなる政府調査団が出発しました。スーダンと言えば、かのダルフール問題があり、過去の内戦で殺された人の数は200万人にも及ぶといわれ、その中で行われた大量虐殺では20万人とも言える犠牲者が出ています。更に、この殺戮を行った政府への武器援助などを続ける中国の姿勢に対する国際的非難などの問題が継続しています。

ダルフールに関しては、幾つもの問題視するべき点が指摘できます。主なものを拾ってみますと、
1 民族浄化とも言われる大量ジェノサイド
2 民兵組織(ジャンジャウィード)によるジェノサイドを支援するスーダン政府への国際的非難
3 スーダン政府のアルカイダ支援疑惑 (クリントン政権当時、米軍はスーダン国内のアルカイダ拠点として製薬工場を爆撃)
4 石油利権獲得のため、スーダン政府に対する中国の武器、経済援助
5 中国への国際的非難の高まり (北京オリンピック映画撮影を依頼されたスピルバーグ監督の監督辞退)

スーダンでは今も武力紛争が継続しています。自衛隊の派遣が行われるとするなら、このようなスーダン国内外に跨がる諸問題に対する日本政府の姿勢を整え、派遣部隊に対する法的整備、特に国連の行動基準である任務遂行を妨害する行為を排除する権限の付与が必要でありましょう。

いや、その前に防衛予算削減、人員削減、燃料費高騰など自衛隊の活動力はますます減退しています。本業の国の防衛のための訓練は減らさざるを得ず、多発する災害に災害派遣への国民の期待は増すばかりです。防衛省改革も大切でしょうが、活動の基礎である予算面でしっかり支援することで、今憂慮されている士気の減退などを防ぐ効果が高いのではないかと思えます。


7月27日
北京オリンピックまであと何日、という言葉も耳を素通りするばかりです。これまでオリンピックを迎える時に感じられた高揚感を今回は感じませんが、皆様は如何でしょうか。厳重に警備され、統制された環境の中で行われる競技が正常なスポーツの姿なのか、観客が一体となって競技を楽しむことができるのか、始まってみないと分かりません。

恐らく開会式では国威発揚で、熱狂的な盛り上がりが演出されるでしょう。しかし参加している人々の心の底にはテロへの恐怖が存在し、言い難い異常な雰囲気に戸惑うことになるのではないかと思います。それがオリンピック期間中、どこの会場でも、何処の都市でも続くのです。

日本からのオリンピック観戦ツアーは、正確なところは分かりませんが、かなりの不振だそうです。ツアー募集のネット情報を見ると空きがあるツアーが沢山あります。ツアーによっては半額のバーゲンをやっているものもあるとか、殆どの日本人は北京オリンピックを冷静に観察し、対処していると思われます。

何か想像できないことが起きるのではないか、という不安感を抱きながらの中国入りは避けたいと思うのが人情かも知れません。


7月26日
私どもの日々の生活が投機マネーという得体の知れない怪物に振り回され、生活防衛の先読みも生半可な知恵では困難な状況になりました。

今朝の産経に田村編集委員の「ドルという飛銭と世界危機」というコラムが載っています。「ニクソン米大統領がドル・金の交換停止を発表して以来、米国は紙切れで世界を主導する歴史上2番目の世界帝国になった。」とそのコラムに書かれています。現実は紙の紙幣が飛び交う場面どころか、ネットを飛び交う電子銭が作り出した想像上の世界のような気がします。

大前研一氏によれば、世界の投資家は6000兆円もの投資資金を抱えているとか、その一部が原油に投資されていたのが、このところの原油価格の暴落(一週間に16ドル下落)で損を重ねる投資家が出ているとか、そこで安定的な投資先として日本の国債が見直されているのだそうです。

借金大国の日本の国債がもてはやされるようになるとは、私どもには分かりにくいことですが、海外投資家の日本国債の購入額は50兆円を突破したとのこと、この資金が何時国債売却に走るか分かりませんから、不安になります。

大前氏は日本の土地にも投機資金が入る可能性を指摘し、そこに「お金の匂いがする」と言っています。そのことが日本にどのような影響を与えるのか、大前氏は言っていませんが、また土地価格に狂乱状況が来るとしたらごめん被りたいことです。


7月25日
「日米平和・文化交流協会 」の秋山理事が脱税の疑いで逮捕されました。私どもが努力を注いできた日本の防衛を食い物にした行為です。防衛利権についてはその実態は私どもが知る範囲の外のことですが、古くはロッキード疑惑など様々な事件が起きています。山崎豊子氏の「不毛地帯」はこの事件を描いた小説ですが、その風景は今も変わらないように感じられます。

同協会については、設立の目的が「日米両国の文化交流を行い、日米両国民の親善を図る」となっており、これを見る限り日米間の文化交流を主目的とする団体です。事実、かつては文化活動が中心でした。しかし、報道によれば、秋山氏が取り仕切るようになったここ数年で防衛色が一気に強まったそうです。

その後、古くからの理事はこの間に大半が辞任し、代わりに政治家や防衛関係企業の幹部が名を連ねるようなり、現理事の名簿もその関係の人達で占められています。協会員の一人は「秋山氏が個人的に協会を利用し、外務省が認可している団体がやるような活動内容ではなくなっている」と話しています。

このような団体がきちんとした設立目的をもって、日米間の交流を図ることは大切なことですし、日本の防衛体制強化のためにも欠かせないことです。次期戦闘機の選定問題でも、米側に対するロビー活動が必要な事は論をまちません。

同協会が日米間の人脈を開発し、意見交換を行ってきたことは重要な役割を果たしてきたと言えましょう。しかし、これは合法的な範囲で行うべき事、非合法で私的利益をあげるために利用したのでは、秋山氏が日頃言っていたという「国防のため、国益のため」という言葉は空虚です。


7月24日
今朝の産経正論は西尾幹二氏が、テロ支援国家指定解除という米国の道義的裏切りに何もできない日本は「国家基盤があぶない」と警鐘を鳴らしています。

西尾氏は「核不拡散条約(NPT)体制は核保有国による地域防衛の責任と道義を前提としている。」と書いていますが、この当然のことを日本政府は声を大にして言ってきませんでした。

核の非保有国が核武装を行わないでいるのは核保有国が核拡散を防ぐことが前提であるのは当然のこと、六カ国協議の結果北朝鮮の核武装を見逃すようなことがあれば、NPTは瓦解することを米国は承知している筈ですが、米国にそれを避ける意志は薄弱としか見えません。

米軍は車力基地にミサイル防衛のためのXバンド・レーダー施設を建設・運用しています。北朝鮮のミサイル、勿論核搭載のミサイルですが、この脅威を認識しているからこそのレーダー配備です。うがって考えれば米国は北朝鮮が核武装し、核ミサイルの保有することを見越し、その対策が車力の施設だということかも知れません。

西尾氏は、「テロ支援国家指定解除の通告は、第一に米国による日本への道義的裏切りであり、第二に日本のNPT体制順守の無意味化であり、第三に日米安保条約の事実上の無効消滅である。」と言っています。日米安保無効とまで言い切れるのか、多少の疑問はありますが、少なくともその枠組みの中に生きている日本は、ブッシュ氏から拉致被害者のことは忘れないという言葉を引き出したくらいで引き下がってはなりません。

福田内閣にはその気概はなく、小沢民主党首も米国に抗議する姿勢はおろか、政府にもの申す姿勢も見えません。


7月23日
今朝の産経正論は国学院大学教授・大原康男氏の「皇室への招致協力要請に反対」です。石原都知事が東京オリンピック招致に乗り出し、皇太子のご協力を得たいとの意向を示したのに対する反対意見です。オリンピック招致には国民の賛成意見は約6割、1967年の東京オリンピックには反対意見は殆ど無かったのと比較すると雲泥の差があります。招致成功に危機感を抱く都知事としては、何とか強力な支援を得たいとの考えでしょう。

NHKが先日放映した市川昆監督の「東京オリンピック」を見ました。入場行進を先導する防大生、祝砲に耳を押さえる児童、上空に五輪を描く空自機、今見ると自衛隊の影の濃いオリンピックでした。今思えば、我々自衛隊関係者にとっても古き良き時代だったのです。マラソンの途中の給水所で立ち止まって水を飲む選手達(一人だけではありません。)、自衛官である圓谷選手が驚異的な追い込みを示し、最後に英のヒートリー選手に抜かれましたが銅メダルを獲得したのもこの大会でした。

その後40年が経過し、オリンピックに満ちあふれていたアマチュアリズムは姿を消しました。クーベルタン男爵が提唱したアマチュアリズムは既にオリンピック憲章から消え、野球もサッカーもプロの選手で占められ、その他の選手たちもプロ的な環境、即ち資金、コーチングスタッフ、練習環境等々を持たないと参加できないレベルになってしまいました。時代の要請であり、コマーシャリズムに乗らざるを得ないスポーツの現状を示すものでもありましょう。

しかし、ドーピングが蔓延し、勝つことで選手たちが巨額の金銭を獲得する手段ともなり、かつ巨大化した大会をテロ組織が狙うというスポーツの持つ爽やかさは薄れました。むしろ様々な汚染が目立つようになったと言えましょう。

映画「東京オリンピック」に描かれた情景と、今回の北京オリンピックのそれの差に驚かされます。中国という特殊な国が開催するオリンピックという事情があるにせよ、今回は特別な大会になりそうで、既に聖火リレーや諸準備でその徴候が表れています。これからオリンピック終了までの間、無事に経過し、選手、見物客などに不測の事故がないことを祈るしかありません。



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