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「最近の韓国情勢と防衛省・自衛隊への提言」


 三木会は平成24年10月18日(木)1300〜1430、グランドヒル市ケ谷において、在韓国日本国大使館 前防衛駐在官 木村 洋 1等空佐 を講師にお迎えして「昨今の韓国情勢と防衛省・自衛隊への提言−三年間の防衛駐在官勤務を終えて−」と題して講演会を開催しました。
 木村1佐は自己紹介のあと、概要、以下の内容について講話されました。
1 最近の韓国情勢
2 韓国空軍の概要
3 防衛省・自衛隊に対する提言
4 防衛駐在官勤務を終えての所感
 李明博大統領の竹島訪問からぎくしゃくした日韓関係ですが、その竹島訪問から韓国の軍事情勢まで、今日の韓国情勢を語るに相応しい講師でした。


 最近の韓国情勢においては、韓国は古代から中国の強い影響を受けていたこと、周辺国からの頻繁に侵攻されたこと等の歴史的背景に韓国で生活して感じた点を加え、まず韓国の国民性から語られました。
 続いて最近の韓国の対日姿勢について振り返り、特に李明博大統領の竹島訪問の概要について説明がありました。竹島訪問の背景とされる大統領支持率にも就任時の52%の後の最高は天安艦事件の49%を頂点に下降している様子もグラフで示されました。
 「竹島防御訓練」や「統合防衛法」、「竹島偶発自体危機対応マニュアル」など、普段なじみのない事項についても解説がありました。大統領選挙についても触れられ、本年12月19日の大統領選挙、来年2月25日の新政権発足に向け、各候補者とこれまでの発言等についても説明がありました。


 以下、主要内容のみを記述。
 1 朝鮮半島の軍事対峙状況について、約119万人の北朝鮮軍、約65万人の韓国軍、それに約3万人の在韓米軍が対峙している状況が図で説明されました。
 2 続いて韓国軍と在韓米軍の全般状況に続き、装備、運用、編成組織等を含む韓国空軍の現状について説明がありました。
 3 韓国空軍の行う訓練についても言及され、日本と同じくレッドフラッグ演習への参加の他、行われている各種実戦的訓練について紹介されました。
 4 韓国空軍の防衛力整備計画については、次期戦闘機(F-X)の購入予定や韓国型戦闘機(KF-X)等について紹介されました。
 5 天安艦事件、延坪島砲撃事件等の影響により韓国の国防計画にも変化があり、編成や運用にも変化があることが紹介されました。


 講師から「防衛省・自衛隊に対する提言」がありました。特に「日米韓での情報共有」についての提言は、現下の状況を踏まえたもので建設的なものでした。
 最後に「防衛駐在官勤務を終えての所感」が披露されました。2回の空幕長訪韓等、諸行事や任務の遂行を踏まえ、充実した勤務であったと共に家族の絆を深めた3年間だったと振り返りました。さらに「日刊防衛交流の今後の進め方に関する所見」も頂きました。「日本の毅然とした態度」と共に「防衛交流を停止する上での負の要素を考慮」すべきとの意見には全く同意するものです。
 最後に会員からの質疑応答を終え、講話を終了しました。木村1佐もそうでしたが、講師は諸先輩の前で話をするということで大変入念な準備をされてこられます。選ばれて派遣されるだけの人物ということもありますが、いずれの講師の話も非常に充実した内容です。今回も多数の会員が聴講に訪れましたが、是非とも会場にて直に講師の話を聞いて頂きたいものです。
 聞いた人だけが納得をする講演会、次回の参加をぜひともお待ちしております。 


(文・写真:n-alfa)