平成22年10月21日 




「フィリピンの国防事情について」

 三木会は10月21日1300〜1500からグランドヒル市ヶ谷3階「真珠の間」で、空幕防衛調整官(前フィリピン防衛駐在官)高橋秀雄1佐を講師にお招きし、フィリピンの国防事情についてご講演をいただきました。会長以下約40名の会員が熱心に聴講しました。講演の概要は次のとおりです。

『フィリピンは国土・人口が日本の8割程度だが、経済の規模は日本の30分の1程度であり、日本をはじめ多くの先進国から多額の経済援助を受けている。海外出稼ぎ労働者からの送金がGDPの1割を占め、政府は人が資源という認識のもと、海外への出稼ぎを奨励している。国内経済では少数の中国系が大きな影響力を持っている。防衛政策の重点は国内治安問題の解決であり、新人民軍やモロイスラム解放戦線などの反政府勢力との戦いが数十年継続している。

 1992年に基地協定の延長ができず、米軍が撤退した後、外国軍隊の恒久的な駐留を禁止する憲法改正を行なった。その後、1998年に訪問米軍を受け入れるようになり、現在は米軍が国際テロリストネットワークの温床といわれるミンダナオ島においてフィリピン軍の対テロ作戦を支援している。

フィリピンは、領有権を巡って中国と係争中の南沙諸島において、8つの島を実効支配している。1995年、中国はミスチーフ環礁に漁民保護の名目で構造物を建設したが、フィリピンはこれを1992年に米軍が撤退した後の力の空白を衝いた行動である見ており、1999年の訪問米軍受け入れに結びついたと考えられる。

アロヨ前大統領は、積極的に中国との関係を強化し、防衛分野においても協力関係が築かれた。南沙問題は引き続き2国間の懸案事項ではあるものの、一般国民の中国に対する脅威認識は希薄である。6月に就任したアキノ大統領は米国、日本、中国がフィリピンにとって最も重要な国であるとの考えを持っており、伝統的な同盟国である米国に配慮しつつ、今後も中国との関係強化を図っていくものと考えられる。

日本との防衛交流については、2009年5月に行なわれたARF災害救援実働演習に日本が参加国中最大規模の100名を派遣し、陸(浄水・医療、防疫)、海(US-2デモフライト)、空(C-130による空輸)がそれぞれの活動を行い、参加国から高い評価を得た。』

高橋1佐の平成19年から今年6月まで3年間のフィリピン勤務での経験等を踏まえたご講演は、我々が知っているようで知らないフィリピンの一面を知る良い機会となりました。

   
   
   

      


    
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