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ドクター大橋の「元気で長生き」講座(3)


                            H28.05.10

 ドクター大橋の「元気で長生き」講座(3)

    社会医療法人ジャパン・メディカル・アライアンス 医師
                  つばさ会会員 大橋 幸一郎

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 読者の皆様には日々健康寿命延長のために、テクテク、カミカミ、ニコニコ、ドキドキを実践頂いている事と思います。「元気で長生き」講座もいよいよ3回目を迎え、各論に入ってまいりました。今回は健康寿命や介護予防を阻害する3大因子の1つ、運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の話をしたいと思います。

 健康な人は誰しも当たり前のように自分の足で動き回り、好きな時間、好きな場所に移動しておりますが、もし自力での移動が出来なくなった場合のことを想像したことがおありでしょうか?中には怪我をして一時的ではあるにせよ、車いすや松葉杖の生活を余議なくされた方がおられる事と思います。それは想像以上に自由が束縛されストレスの多い生活だと思われます。今後も長らく自由に自身の足で動き回り人生を楽しんで頂くために、骨、関節、軟骨、椎間板、筋肉で構成される運動器の障害を未然に防止し、定期的な運動習慣によって強くする努力が肝要です。骨や筋肉量のピークはおよそ20~30代と言われています。しかしながら、適度な運動や生活の中で適度な刺激を与え、適切な栄養を摂ることによって、骨や筋肉量の減少に歯止めをかけ強く丈夫に維持することが出来るのです。

 ここで、骨や筋肉と同様に軟骨や椎間板にも運動や生活活動によって適正な負荷が掛かることが必要です。ただし過度や過激なスポーツによって負荷が掛かり過ぎると、軟骨や椎間板は逆に傷んでしまうことがあり、結局は傷まない程度の負荷(適正な負荷)を如何にして掛けていくのかが重要となります。この意味で、過体重の人は同じ運動でも負荷がオーバーする可能性が高くなるということになりますが、逆にやせ過ぎの人では筋肉や骨が弱くなってしまい良くありません。
 まずは、御自身のロコモ度を調べてみましょう。日本整形外科学会が推奨しているロコモ度テストに
1.立ち上がりテスト、
2.2ステップテスト、
3.ロコモ25の3つがあります。



















































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 立ち上がりテストについて、難易度は両脚40cm、30cm、20cm、10cm、片脚40cm、30cm、20cm、10cmの順に難しくなっていきます。一般に片脚で40cmの高さから立ち上がれる機能が期待され、片脚で40cmの高さから立ち上がれない場合は何らかの対策をとることが勧められます。2ステップテストについて、基準値は1.3以上です。1.3に達しない場合は何らかの対策をとることが勧められ、1.1未満の場合は運動機能低下のために日常生活に支障をきたしている状態考えられます。ロコモ25について、疼痛、歩行、生活上の起居動作、身辺処理動作、家事動作、社会的活動に関する25の質問からなる主観的な運動機能尺度で早期診断ツールとして開発されました。区分1(0〜6点)の人では25項目のいずれにおいても困難さを自覚する人が50%を超えず、一般に期待されるレベルとされています。

 ロコモ度テストの結果は如何だったでしょうか?一生懸命やり過ぎて、返って足腰を痛めてしまったということのないよう気を付けて下さい。会員の皆様は現役時代から心身を鍛え、多くの方は退官後も現役時代に培った運動習慣を続けておられる方が多いものと拝察致します。従って殆どの方は期待されるレベルをクリアされたのではないでしょうか?皆様には今後とも現在の体力の維持向上を目指して頂くために、習慣的な運動、活動的な生活、適切な栄養摂取、運動器疾患の管理を心掛け下さい。

 日本整形外科学会では、ロコモを防ぐ運動として「ロコトレ(片脚立ち、スクワット、その他)」と「ロコトレプラス(ヒールレイズ、フロントランジ)」を習慣的に実施することを推奨しております。













































 加えて、活動量を減少させる一因となるエレベーターや自動車の使いすぎに注意し、可能な限り自分の足で歩きましょう!!
 また、やせ過ぎは身体を支える骨や筋肉がどんどん弱くなります。逆に肥満は腰や膝の関節に大きな負担を掛けます。やせ過ぎと肥満に注意しましょう!! 関節はとてもデリケートにできています。スポーツで酷使したり正しいフォームで行わなかったり、思いがけなくケガをしたりすると、大きなダメージを負ってしまうことがあります。スポーツのやりすぎや事故によるケガに注意しましょう!! 最後に「腰が痛い」「膝が痛い」「腕や脚が痛い」などその痛みを「年のせいだから」といって放置していませんか?運動器の衰えは秘かに進行しているかもしれません。中には重篤な病気が隠れている場合があります。長く持続き次第に悪くなっていく痛みやシビレがある場合には、一度整形外科で診察を受けてみましょう!!

 今回はロコモティブシンドロームの話を致しました。読み終えて頂いたところで、毎日の生活に「+10」の習慣を。今より10分多く身体を動かすことで更にロコモの予防につながります。例えばこんな「+10」にトライしてみませんか?
 ・自転車や徒歩で通勤する
 ・通勤や帰宅は一駅手前で下車
 ・エレベーターやエスカレーターの替わりに階段を使う
 ・テレビを見ながら、ロコトレやストレッチ
 ・仕事の休憩時間に散歩する
 ・地域のスポーツイベントに参加する
 ・歩幅を広くして早く歩く

 次回は、健康寿命や介護予防を阻害する3大因子の1つ、「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」のお話です。


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大橋 幸一郎 先生