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―つばさ川柳 願法みつる編 (129号) 鉢の木を想い出させる雪が降り 堀内今一歩 自衛隊今年は雪で名を上げる 庭仕事座骨痛めてカニ歩き 蒔苗八十八 騒音と同じレベルの歌唱力 八十路入りまだ現役とゲレンデへ 若松 靖夫 ソチのつぎ寝不足なしの観戦が 何取りに来たっけ探検隊の目 岩崎 篤子 未知数の大器晩成でんと据え 夜明け時ソチと別れてご就寝 上田 将子 皆揃い冬の五輪に時忘れ ふと漏れた井戸端会議ほぞを噛み 木村 泉 還暦の息子案ずる母卒寿 かくし芸好評の末おもて芸 佐原 利幸 大型車軽に乗り替え粗大ごみ 味覚落ちグルメ旅行はお呼びなし 鈴木 至 暇あれど積ん読増える締まりなさ 使わない機能も込みで高くつく 末田 洋一 熱いお茶飲んで気合いを入れる朝 この世からお天道様いなくなり 田所 健 嫌韓と呆韓互いに競い合う 東電の期待通りの汚染漏れ 中井 極 タマ撃てぬ国から借りたタマを撃つ 勝ち負を越えて日暮らし心富む 濱田 喜己 カラオケも仲間同士で満ち足りる 野暮用に追われ安堵の一休み 蜂巣 徹 陽が笑う男無様な物干し場 名横綱も理事選で押し出され 藤沼 智弘 結果論五輪予想のお人好し 賃上げの陰に年金先細り 宝納 徳一 災害に想定外が常套句 隣国が叫ぶこだまの我利我欲 願法みつる 笑おうよ諸行無常の浮き世なら 課題 『役 者』 みつる選 人生へ役者の涙見てしまい 岩崎 篤子 真央選手役者を超える器量見せ 鈴木 至 中傷もあっけらかんと真央の笑み 宝納 徳一 また劇場脱原発の一幕で 若松 靖夫 大選手役者にさせぬ過報道 堀内今一歩 酒宴での役者が増えて減る出番 佐原 利幸 幕引きは自分で決めて終りたい 濱田 喜己 大根も磨けばいつか千両に 中井 極 手のひらで躍らせる役演じたい 末田 洋一 ヘボ将棋役者の違い見せつける 田所 健 学者より堂に入ってる役者肌 蜂巣 徹 老人会役者同士のせめぎ合い 蒔苗八十八 秀 お笑いも立派な役者面してる 藤沼 智弘 秀 名子役末は名のある役者かな 木村 泉 秀 咲き誇る花に役者の艶姿 上田 将子 軸 連れ添って笑顔ひとつの無言劇 願法みつる 「自由句と課題句について」 現在、皆さんからのつばさ川柳では自由句と課題句を掲載しております。この二者にはどの様な違いがあるのでしょうか。当然川柳作家である以上はご存知のことではあると思いますが、少し考えてみましょう。 自由句は雑詠とも近詠とも言いますが、これは作者の「全く自由な想いの表出」です。人生観であり世界観であり哲学でもあります。詠いたい主題・対象が具象的な事物や現象であったり、心の深遠を揺り動かす抽象であったりします。その表し方も具象であったり抽象であったり比喩であったり擬人であったりします。何をどの様に表現しても良い、作者個人の独立句です。 では課題句の狙いはなんでしょうか。私は、川柳を競う遊びを兼ねた作句上達への道程であると思います。 それは各種の勉強会や句会あるいは大会などで、与えられた課題・主題をどの様に解釈して自分の中に取り込みそして作句するか。ここでは参加者が課題という一点に視点が集中しますから、百様の姿が現れます。 結果として同想の句が現れることがありますが、他と異なる新規の着眼句が目に止まれば、その幸せは大きな成果を得るでしょう。 自由吟にしても課題吟にしても、作句して公表(投句し掲載されたり、選に抜けて記録誌に掲載されたり)した時に初めて意味があることになります。即ち皆さんの句が陽の目を見る訳です。ただ作句しただけでは単なる自分句・記録句でしかありません。 では句を公にする過程で、何を考えなければならないでしょうか。どうすれば皆さんの句が陽の目を見るのでしょうか。次回に書きましょう。 次号課題は「揺れる」。課題句二句と自由句は三句をご投稿下さい。締切日は五月末日です。 自由句は三句とお願いしています。それには意味があります。次回にお話しします。